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台風さらし

熱帯低気圧の通り道である八重山諸島の人々にとって、台風は恐ろしい天災である一方、海の生態系を維持するための大切な風物でもあります。この風雨に泡盛をさらすことで、台風を禊ぎとして泡盛づくりに取り込みました。

八重泉の泡盛造り

琉球王朝時代から続く伝統的な直釜式蒸留は、高温で酒を一気に加熱し、アルコール以外の成分を飛ばすことで、うまみや香りをいっそう強めることができます。

古酒

長期熟成した泡盛「古酒」は、アルコールと水がしっかりと混ざり合い、荒々しかった風味に一体感をもたらします。貯蔵容器によって味や香り、色まで変化するため、異なる容器で貯蔵した古酒をブレンドすることで、さらなる複雑な味わいが醸し出されていきます。

泡盛の歴史

泡盛の起源は紀元前のメソポタミアに遡ります。やがてアラビアの錬金術師たちの試行錯誤の副産物として発明された蒸留酒が、商人たちの移動によって北方はフランス、イギリス、ロシアへ、西方は大西洋を超えてメキシコへと伝播したと言い伝えられています。そして東方はインドシナ半島を経由して、琉球にたどり着いたのが500年以上前のこと。多様な文化・文明を経巡りながらも、蒸留酒はそれぞれの土地の風土で醸され、その土地固有のスピリッツへと変容を遂げました。西洋ではウォッカ、ウイスキー、ブランデー、ラムとなり、琉球では泡盛へと育ったのです。

書について

酒のラベルには、気鋭の書家、鎌村和貴氏による書を大きく配し、
石垣島の自然の勢いを体現しています。

鎌村和貴(かまむら・かずき)

鎌村和貴(かまむら・かずき)

1985年徳島県生まれ。大東文化大学文学部書道学科卒業。武蔵野美術大学大学院基礎デザイン学コース修了。卒業後は株式会社資生堂デザイン部でデザイナーとして働く。2019年に秩父へ拠点を移すとともに独立。文字を中心としてイラスト、グラフィックデザインなどの製作をしている。

TDC賞ノミネート
個展「美しい森 美しい泥(2017)」「Thunder and BOYS.(2018)」
「メルシーボークーの朝(2019)」「文字が呼んでいる(2021)」
「やさしくて吹き抜ける(2022)」「光のゆくえ(2022)」